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同人主義とは

 
 同人主義とは、共産主義の1形態であり、杏さん党が提唱・標榜する政治経済概念です。
 
 
 商業資本主義を排し各個々人がもつ才能や人的繋がりの力を以て同人誌を作り上げ原価に近い価格で頒布する、という同人誌の世界。これは社会が目指すべき理想的経済モデルであります。同人主義経済社会では、個人又は限りなく個人に近い集団共同体が必要な物を生産し限りなく低コストで頒布するという利潤漸減型経済モデルを想定しています。
 
 ただしこの考え方を単純に適用すると、「生産した物が売れず生産コストすら回収できない=生活の困窮」や「本来需要のある物が生産されない」といった矛盾を抱えることになります。
 
 私達はそこに「公」の果たすべき役割があると考えます。
 
 まず前者の生活困窮問題を回避する為に「最低限の生活保障を行う為の公的システム」と、それを財政的に維持する為の「特定品目の公的生産」が必要であると考えます。
 
 また、後者の「本来需要のある物が生産されない」という矛盾は、これは自由主義型市場経済でも発生しうる経済学の難題ですが、同人主義ではこれを解決する為に「経済における民主主義の導入」を提示し、その経済民主主義の運営に於いて前述の同人型共同体ネットワークの活用を想定しています。
 この経済民主主義の考え方は、一見すると自由主義に於ける市場経済に類似しているようにも見えますが、自由主義市場が抱える以下の2つの問題点を排除しています。
 1つは、投機資金の流入などによって本来の「需要と供給」のあり方が歪められてしまうこと、これを防ぐ為に、経済民主主義では分配システムを民任せになどせず社会全体に対して責任を持つ公的機関が運営するようにし、また価格以外の指標を用いることで本来あるべき需給一致点を決定するようにします。
 また、自由主義市場では、一定以上の資本を持った個人や機関で無ければ市場に参加すること自体出来ませんが、経済民主主義では本来持っている需要や供給力を重視する観点からも、資本力による参入障壁を無くし、個人や経済共同体の意志を最優先する分配システムを構築します。また、供給不足に対応する為に、公的機関による緊急生産の仕組みも導入します。
 
 
 ここで言う「公」とは、必ずしも国家やその下にある公共団体、いわゆる「官」を指し示すものではありません。特定資本家では無く社会全体に対して責任を負う機関であれば、何でもよいのです。
 ですが、現状考え得る最も効率の良い公的システムとしての「官」の役割を否定するものではありません。無論、「官」が行うよりもより効率が良く公平な運営が可能なシステムが存在すれば、それは即時そのシステムに置き換えられるべきです。しかし残念ながらそのようなシステムは現状私達も提言できる状態に無く、その意味でも同人主義は未だに発展途上であります。
 
 
 
 
 また、同人主義は共産主義の1形態であると私達は位置づけていますが、共産主義思想に於いて現在圧倒的主流であるマルクス・エンゲルス思想、又はマルクス・レーニン思想(ML思想)とは明確に一線を画しています。
 
 その最たるものが「社会主義」の位置づけです。
 マルクス・エンゲルス思想に於いてそれは「共産主義の低次の状態」であり「高度な資本主義社会を経て社会主義に至り共産主義が実現される」という弁証法論的思想の根幹を為すものであり、社会主義と共産主義は不可分のものであるとされています。
 これに対し同人主義は、生産手段を可能な限り小規模共同体単位(理想的には個人ですが、現実問題として個人の力には限界があるため、何らかの集団を形成する必要があります)で共有しようという思想であり、生産手段の全てを国有化(公有化)してしまう社会主義はむしろ真っ向から否定する立場です。
 同人主義の実現に於いて高度な資本主義の過程は必要とするものの、社会主義の過程は全く不要である、と言うのが同人主義の立場です。同人主義はマルクス・エンゲルス思想とは異なる立場の思想です。
 また、その思想に於いて独裁を積極的に肯定するマルクス・レーニン思想は、同人主義が掲げる経済民主主義とは真っ向から対立するものであり、その点に於いて私達はこの思想を攻撃しないわけには行きません。
 
 但しこれは、現状の資本主義社会を肯定するものでは決してありません。現在の資本主義社会と資本主義経済とそれを支える自由至上主義はは明らかに矛盾をはらんでおり破綻寸前であるにも関わらず、経済学者を含む多くの人がその現実から目を逸らし、既存の仕組みに固執してしまっています。
 「改革」を唱えながらその実態は保守主義への回帰でしかない詐欺勢力は論外ですが、現行の市場経済の中で福祉を中心とした構造改革を目指す社会民主主義も私達の立場からは対症療法に過ぎないと考えます。
 風邪薬を飲んでも風邪は治りませんし、喘息なら尚のことです。私達は、社会経済を根本から治癒する方策の一つとして、積極的に同人主義を掲げ推進していきたいと考えています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 



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